個展+ワークショップ「PHOTO GLASS」

私がはじめてフォトグラムと出会ったのは、

多摩美術大学2年次の、写真の基礎を教える授業でのことでした。

はじめての暗室作業、そこに立ち表れた見たことのないビジュアルに、

自分の根っこにある感覚と波長が合う気配を感じて、

水を得た魚のように足繁く大学の暗室に通いはじめました。

モチーフとなったのはひたすらガラス。学生時代の限られた制作費の中で、

最初は100円ショップで取り扱っているグラスやお皿の中で、

可能性を感じたものを片っ端から購入しました。

100円ショップに欲しいガラスがなくなると、インテリアショップやガラス雑貨のメーカーへ。

それがひと段落したら、工芸科の友人にイメージを伝えて

ガラスのオブジェを制作してもらったり、先生の作品を拝借したりもしました。

モチーフの単価はどんどん上がりましたが、それでもやめることはありませんでした。

殆ど中毒状態となった中、ようやく完成したのが2年後の卒業制作「salyu/LANDMARK」でした。

周囲からは、あの2年次の授業でよくフォトグラムに可能性を感じたね、

と不思議がられることもありましたが、この表現に出会えていなかったら、

自分の中にある暗がりが報われていなかったような気がします。

ガラス以外のモチーフに興味が向けられることがなかったため、

自分のフォトグラム作品群を「PHOTO GLASS」と名づけ、この度展示させていただくことになりました。

その不思議な表現ゆえに、ここSPACE Kの木村さんとの出会いにはじまり、

展示やワークショップを通してたくさんの方との出会いがありました。

そんな測りしれない魅力があるフォトグラム、印画紙表現の美しさを、

二度と掴まえることのできない1枚1枚を通して伝えたいと思います。